『放課後焼き芋クラブ』を徹底レビュー!

1 あらすじ
2 キャスト・スタッフ
3 基本情報
4 レビュー


1放課後焼き芋クラブのあらすじ


都立西岡高等学校には「生徒全員が放課後活動をしなければならない」という決まりがある。新入生の戸田博高はサッカー部に所属していたが、大怪我をして部活動ができなくなり、1人教室に残っていた。そんな彼の目の前に、良い香りの焼き芋を差し出した放課後焼き芋クラブ部長の新田サキ子が現れた。幻のクラブと噂の焼き芋クラブに驚きを隠せない博高にサキ子は「暇なら焼き芋を一緒に焼きましょう」と言い、博高を連れ出した…。


2 放課後焼き芋クラブのキャスト・スタッフ


監督:香田一斉
キャスト:焼原逸美(新田サキ子)テン・ジョン(戸田博高)他


3放課後焼き芋クラブの基本情報


放送日/公開日

2019.10.21

制作・配給

白米

日本

時間

112分


4 放課後焼き芋クラブのレビュー


不思議な世界観に思わず魅入ってしまう作品!
焼き芋は私たちの故郷
香田一斉監督の待望の最新作はやはり素晴らしかった。こんなにも訳が分からない映画の名前なのに、何故か胸が熱くなる映画だ。
 
焼き芋といえば石焼き芋を誰しもが思い浮かべると思う。 
石焼き芋を売る歌声は、小学生の時によく聞いたものだ。今でもあの声を聞くと、幼い頃のことを鮮明に思い出す。
 
石焼き芋屋さんの後ろをついて回ったこと、登下校中に熊と出くわし、死んだふりをしたこと、おばちゃんとおじちゃんとホッピングでこっそり遊んでいたこと。
 
そんな素敵な思い出を届けてくれる焼き芋と小さい頃から何気なく接していることで、いつの間にか私たちは焼き芋に惹かれていたのかもしれない。
この映画はそんな日本人の盲点をついた映画だった。
 
映画の見どころ!
映画の1番の見どころは「彼女たちにとって私は焼き芋の焚き火でしかないのよ!」と焼いたばかりの芋をサキ子が握り潰すシーン。
 
熱くて大変なシーンであるはずなのに、熱い表情を一切しないで握り潰す姿は圧巻だ。
また、焼き芋の熱でサキ子の燃える心の温度を表現しており、印象的だ。
 
温度といえば、最近、私は指と指を合わせるだけで、人や動物の的確な体温がわかるようになるという新たな技を身につけた。
 
人は極限状態になると、新たな能力を開花させる場合があるというが、その能力が体温を瞬時に何の極限になったのか、自分でも分からない。
 
焼き芋の種類と表現が美しい!
少し話が逸れたが、焼き芋は見たところシルクスイート。
 
滑らかで甘みが強い品種である。
焼き芋にも様々な品種があるが、私は圧倒的にシルクスイート派。何より名前がいい。上品そう。
 
一度も食べたことがない品種なので、今度食べてみようと思う。焼き芋は芋の品種で味が全く違うと聞くので今度食べ比べたいと思う。
 
さて、この映画で大切な「焼き芋」の存在。私は場面ごとで焼き芋の表情が変化していることに気づいた。
 
サキ子が博高と出会うシーンでは黄昏の焼き芋、サキ子が先生に焼き芋パイを投げつけるシーンでは渋い顔の焼き芋、博高が胸を抑えて青春を嘆くシーンでは肘をついて退屈そうな顔の焼き芋など、表情は様々だ。
 
この映画を見る人は是非、録画をして焼き芋の表情を見てほしい。焼き芋に表情があると知った時、新たな扉が開かれるだろう!
 
気軽な気持ちでみると後悔するので、是非、ポップコーンを3つ、ジンジャーエール2本、ティッシュ8箱を用意して観て欲しい。
 

著:馬事とうふ