『部長は聞いている』を徹底レビュー!

1 あらすじ
2 キャスト・スタッフ
3 基本情報
4 レビュー


1 部長は聞いているのあらすじ


 とある会社。寡黙で強面な佐竹太郎部長(50)は、「仏像の佐竹」と呼ばれ若手社員達から若干恐れられていた。そんな佐竹には悩みがあった。中学生になったばかりの娘に「うざい!」と言われ煙たがられている事だ。【地獄耳】である佐竹は、若手社員達の会話を盗み聞きすることで、若者の流行を学び、娘に好かれるよう努力するのだが…


2 部長は聞いているのキャスト・スタッフ


監督:風岡風太郎
俳優:森岡りゅうた(佐竹太郎)、ささの(娘)、権三美嘉右衛門(隆)


3 部長は聞いているの基本情報


放送日/公開日

2021.01.26〜

制作・配給

PODオリジナル

日本

時間

1話45分 全12話


4 部長は聞いているのレビュー


衝撃の設定!
 
 物語は部下の西本視点から始まる。「仏像の佐竹」と言われる強面の部長がいると紹介された佐竹部長は本編になかなか出てこない。満を辞して登場した佐竹を見て私は絶句してしまった。
 
 本当に仏像の顔なのである。生身の人間の体に仏像の顔がくっついている。話している表情は CGだという。見たことのない世界観でなかなか物語の世界に馴染めなかった。地獄耳であるという設定があまりにも薄れて感じてしまった。もったいない。
 
娘がどうしても好きになれない!
  
 中学生になったばかりの佐竹の娘。この娘がまあクソなのである。性悪説を煮詰めたような人間だった。
 
 重い荷物を運ぶおばあちゃんの荷物を運ぶ手伝うふりをして出発地点に戻したり、幸せそうなカップルの元に浮気相手のふりをして癇癪を起こして修羅場を作ったり、担任のカバンの中身を競馬雑誌とエロ本にすり替えたり、席を譲って欲しそうな松葉杖のクラスメイトをニヤニヤ眺めたり、作中の行動全てが絶妙な不快感を与えるものであった。
 
 なぜ佐竹はこのクソガキに好かれようと努力するのか、全く理解できなかったので作品に入り込めなかった。
 
若手社員のキャラ設定が素晴らしい…
 
 流行を掴もうと若手社員の話を盗み聞きする佐竹であったが、盗み聞く相手を間違えている。会社には大体3名の若手が登場するのだが、全員イカれている。
 それが故にうまくいかない佐竹の姿が毎話醍醐味となるわけだが、この若手社員たちのキャラ設定が素晴らしい。
 
①隆(葉巻のたかし)
 10分に1回葉巻を吸っている新卒1年目。実はこの会社はパチンコメーカーであるのだが、勉強と言い張り、業務時間の半分をパチンコに費やしている。残りの時間は葉巻を巻く時間に当てている。なぜこれが許されているのか謎である。
 会社では競馬の話しかしておらず、当然佐竹の娘の興味を惹くような話ではない。第5話では隆の競馬話でストーリー展開されるのだが、実にこれが面白いので見ていただきたい。
 
②敬(たかし)
 流行に詳しい2年目社員。ただ流行と言っても老人の流行である。実家が老人ホームなのだが、よくよく聞くと入れ歯洗浄剤の話であったり、杖のブランドの話であったりと、紛らわしい話し方をするので佐竹はよくそれを若者の流行だと勘違いする。
 まともな人間かと思いきや覆面で有名な告発系動画投稿者をしている。ネタ収集のために日々動画投稿者のストーキングとパパラッチのようなことをしている。ネット社会が生み出したモンスターである。
 
③プラダン・ナターシャ・ポラ・カナコ
 彼女は日本語ではない何かを常に話している。なぜか敬と隆とだけは会話できているが、そのほかの社員とは意思疎通が不可能だ。なぜ入社できたのかさっぱり謎である。佐竹はそんな彼女の話を盗み聞き理解しようと試みるも全くの無駄だ。
 彼女の話す言語と私の母国語が何となく似ているので分かるのだが、彼女はずっとカマキリの眼球の話をしている。
 
 このような面々から若者の流行を掴もうとするも、無駄骨に終わるのがウリの本作、気になった方は見ていただきたい。かなりの駄作だがC級ドラマとしては最高の作品だ。
 

著:萩沼ドライビングスクール